育児に口を出してくる実母

他人の芝生は青い、とはよくいったもので、人間は誰しも無い物ねだりの欲を持っています。かくいう私もそうですが、幼いときからまわりが羨ましくて仕方なかったんです。
まるで友達のように会話をして、理解力のある親友のような母娘関係に憧れました。
私が出産して育児を始めるようになってから、ますます実母がうっとおしくなってしまったのです。

◆過干渉な実母

私が幼少の頃から、何かと首を突っ込んできては叱られる、叩かれる、という日々を送っていた私には、実母を母と思えることはありませんでした。
そんな私でも愛してくれる人が現れ、結婚して子どもができました。
もちろん実母は喜んでくれましたが、子供の名前を決めるときから、あれがいい、これがいいと一人で大騒ぎをして、結局は夫と2人で決めたのですが、それが気にくわないと大爆発をしました。

出産して里帰りをしている間も、何かにつけて実母が爆発していました。産後は体をあまり動かさず、体を休める時期なのですが、里帰りした2日目(出産して約9日目)ぐらいに、

「いつまで寝てる!起きろ!」

と叫ばれました。しぶしぶ起きて赤ちゃんにおっぱいをあげていると、

「いつまでもあげているな!」

また叫ばれました。

これが繰り返され、私は睡眠不足になり乳線炎になりました。おっぱいが痛くて痛くて涙が出てきても、

「痛いのか?ちゃんと母乳が出るように出産前から、ご飯を食べていないからそうなる!」

また叫ばれました。

何かにつけてケチをつけて叫んでくる実母にうんざりでした。赤ちゃんの頭の上で叫んだりするのです。
また、赤ちゃんの衣類や紙おむつのメーカーまで決められ、それ以外は使ってはならん!と言われました。
そして口癖のように言うのです。

「昔は貧乏で欲しいものが何も買えなくて、あるものでまかなっていた。でも、今は昔よりいいものが多いから、なるだけ高くていいものを買いなさい。」

◆実母から解放
このままだと私も赤ちゃんも精神的に壊れてしまうと思い、思いきってアパートに引っ越すことにしたのですが、そこでも実母は大騒ぎを起こしました。

「アパートはホコリが多くて赤ちゃんの体には良くないし、夜泣きをすれば隣人から苦情がくる。それに、狭い部屋で育てるよりも、昔のように広い家で、年寄りと一緒に住んだ方が育児には適している!」

確かに家族が多ければ、頼れるし、私自身も少しは楽に育児ができるのはわかっていますが、正直、実母には頼りたくありませんでした。

引っ越してからも毎日のようにアパートに来て、赤ちゃんを見つつ、ケチをつけていきます。

「こんな離乳食を食べさせるな!離乳食はお前が作れ!市販のものばかり食べさせると、子供は味を覚えて手料理を食べなくなるぞ!」

と言って、自分で選んだ食材を買って置いていくのです。
実母から解放されたい、自由になりたい、そんな気持ちは募るばかりでますますつらくなっていきました。

◆きっかけは夫
こんな日常を見ていた夫はある日、実母にきちんと話をしてくれました。

「お義母さんがしてくれることは有り難いと思います。でも事実として、妻の精神的な状態はあまり良くない。本当に想ってくださるなら、少し時間をおいていただきたい。」

激昂した実母は大暴れをしたのですが、こちらか側が強い意思を示したので、それ以来、干渉してくることはありません。

昔は~と言われると、そうだったんだね、と思うこともありますが、今と確実に時代背景が違うので、昔のことがあてはまることはあまりないですよね。
私も何人産んでも、育児にマニュアルはなく手探りで状態ですが、それはそれで楽しいものです。
干渉してくる実母の気持ちは有り難いのですが、もっと私を信頼してほしいなと思いました。